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翼の記憶 -追憶編-
【ファンタジー 恋愛小説】

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小さな幸せU-1

キュリオの癒しの光がアオイの頬をなでる。自分に集まった光と戯れるようにアオイが宙に手を伸ばした。






「アオイは私の光が好きかい?」






「アオイはおとうちゃまだいすきっ」






光ごとキュリオを抱きしめるアオイに頬を寄せるキュリオ。






「アオイが思ってるより・・・きっと私のほうがお前を愛しているよ」






頬を染めるアオイのまぶたにキスを落として二人は部屋をあとにした。






階段から降りてくるその姿をみてカイが駆けてくる。





「お目覚めですかキュリオ様、アオイ様」






アオイへと手を伸ばすカイの手を片手で制止したキュリオを見ると、どうやら彼は今日一日、アオイを手放すつもりはないらしいことがうかがえる。






「お茶の時間にしよう」






颯爽と歩き出したキュリオの肩口からアオイが顔を出した。立ち尽くすカイに小さな手をこまねいて、おいでおいでをしている。






「カイもいこ?」






「はい!俺も行きます」






少し遅れてキュリオとアオイの後ろを歩くカイ。茶の席をともにすることは出来ないが、アオイの世話は出来る。





いつものようにアオイの座る席へと待機していると・・・





キュリオが自分の席に座ったまま、その膝の上にアオイを座らせていた。






次々と運ばれてくるティーセットを前に、役目のなくなったカイは扉のほうへと下がった。





その動きを見ていたアオイは、目の前に出された焼き立てのビスケットを手に取るとキュリオの膝から飛び降りた。






「アオイ?どこへ行くんだい?」






驚いた様子のキュリオは慌てて席を立った。






小走りにカイの元へとやってきたアオイは、キュリオの言葉も聞こえていない様子だった。





「アオイ様?」






膝を折ってアオイに視線を合わせるカイ。アオイはカイの目の前までくるとそこに腰をおろして握りしめたビスケットをカイに手渡した。





「あ・・・・」






カイがビスケットを受け取ったのを確認して、アオイがもうひとつのビスケットを口に含んだ。にこにこと笑うアオイの表情からは、一緒に食べよう?というアオイの心が読み取れた。





「ありがとうございますアオイ様」








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