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翼の記憶 -追憶編-
【ファンタジー 恋愛小説】

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小さな力U-1

「まさか・・・」






考える素振りをみせたアレスは、カイへと何やら話している。驚いた様子のカイだが、アオイへと視線を戻すと・・・






「アオイ様、噴水のところへ参りましょう」





にこやかな笑みを浮かべてアオイの背を押すカイ。アレスは聖獣の子を抱えてふたりの後をついて行く。





噴水の水はキュリオによって浄化され、傷を早く治したり病にかかりにくくする効果さえある。





カイはアオイを噴水の淵に座らせ、怪我をしたであろう右手の布をはずしていく。






意図を悟ったアオイは血にまみれた手を洗おうと、噴水へと手を差し入れた。






「・・・っ」






痛みに顔をしかめたアオイの表情をみて、カイがあわててその手を水から引き抜く。
すると・・・聖獣の血が洗いながされたにも関わらず、アオイの小さな手からは血がにじんでいた。





「アレス・・・これは一体どういうことだ?」






隣で聖獣の体を清めていたアレスがゆっくりとふたりに近づき、アオイの手元を見つめた。






「カイ、キュリオ様にご報告を。アオイ様は特異体質なのかもしれない」






「・・・特異体質?」






アレスが跪いてアオイの傷ついた手を両手で包むと・・・癒しの光が満ちて、アオイの傷を癒していった。





「アレス、ありがと」





頬を染めてお礼をいうアオイの頭を撫でると、アレスはカイとアオイを城内へと促した。





まだ広間にいたキュリオは早すぎる二人の帰りに驚いていたが、それよりも・・・血だらけのアオイの腹部をみて血相を変えて走り寄ってきた。





「どうしたんだアオイ!!
怪我を・・・!?」






普段冷静なキュリオが取り乱した様子でアオイの怪我を確かめている。






「アオイ・・・痛いところは?」





ふるふると首を振ったアオイはキュリオへと笑顔を向けた。





「アレスになおしてもらったー」





アオイに気をとられていたキュリオが後ろへ目を向けると、導師・アレスが一礼して前へ進み出た。




「君が・・・すまなかったね。アオイは最近やんちゃが過ぎるから気を付けていたつもりなんだが・・・」





鋭い眼光でカイを戒める視線を送ったキュリオ。その視線に気が付いたアオイがキュリオの裾をひいた。







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