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タバコdeガール
【エッセイ/詩 その他小説】

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断片的な「女性と煙草」-1

 石川啄木が、カンニングをした事件がある。
 1902年、当時17歳の啄木のカンニング、どんな方法だったのか…
 数学の試験だったようだが、今のプリント形式ではなくて、答案用紙に答を書くスタイルだったらしい。
 そこで、あらかじめ頭のいい特待生の友達と話をつけておいて、同じ答を書いた答案用紙を二枚作ってもらい、友達が試験を早くすませて退出する時にそれを受けとる、って方法だったそうだ。
 いかにも危ない方法だ。実際見つかってしまい、頭のいい友達は特待生をとかれ、啄木は落第が決定的になった。
 だから啄木は自ら退学して、それから波乱の人生が始まった……って、それは違う話だ。

 問題は、その事件を記述した、学校の記録『校会決議録』にある。
 「日本文学アルバム・石川啄木」のたぐいを見ると、その関連ページを写したが掲載されてるのだが、その記事の直前に こんな記述が見られるのだ。

 一、生徒ニシテ喫烟(煙)スルモノ往々アルヲ以テ
   校長若クハ担任教員ニ於テ能ク其
   不心得ヲ訓戒スルコト

 要するに、タバコを吸う生徒がいるから、見つけたら注意しろよ って事ですな。
 ほほぉ〜、学生の喫煙は こんな昔から問題になっていたのか…と思っていたら、実は無理もないらしい。
 1900年までは、喫煙に年齢制限がなかったそうなのだ。
 だから、子どもがタバコを吸っても さして「お咎め」されなかったようなのだ。
 当時十代の「(旧制)中学生」にとっては、今さら禁じられても止められるか、って感じだったかも知れない。

 当然、女の子だってタバコを吸ってたようで、啄木と同じ年に生まれた谷崎潤一郎が、幼いころの思い出を綴った文章に こんな記述がある。

 (前略)
 ある時蛎殻町(かきがらちょう)の伯父の家の二階から、塀の向こうをうかがうと、隣の家にも中庭があって、十五、六になる美しい娘が、縁はな(=えんはな、縁側のはしっこ)に近い柱に靠(もた)れながら長煙管で煙草を吸っていた。それは「お鈴(すう)ちゃん」という近所で評判の娘であったが、……
 (後略)

       (『都市情景』より)

 十五六の少女がタバコを吸うなんて、今じゃ何となく薄汚れた印象になりそうだけど、この文章を見ると 幼い目にステキな思い出になってる感じがする。
 もっとも、浮世絵なんか見ると若い娘がキセルを持ってる構図が山ほどあるもんね。

 石川啄木に戻って、啄木の短歌にこんなのがある。

 巻煙草口にくわえて
 浪あらき
 磯の夜霧に立ちし女よ

 明治時代の女性の「くわえタバコ」って萌えません?
 啄木にとって「忘れがたき人人」のひとりだから、もしかして美しい女性だったんだろうね。

 自分が「喫煙美女フェチ」なもんだから、こんな文章や詩句を見つけると過敏に反応してしまうのでした。

 【ここまで】


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