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シルビア
【青春 恋愛小説】

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シルビア-1

 シルビアは母親がヒッピーのような暮らしをしながら世界一周していたときに出来た子で、父親は何処の国の誰だか分からない。尤も母親には全く似ていないから父親に似ているのだろうし、そうだとすれば母には誰が父親なのか分かりそうなものだと思うが、行きずりの相手なら本当に分からないということもあるかも知れない。少なくとも戸籍の父親欄は空欄になっている。
 光の当たり方によって金髪にも銀髪にも見える珍しい色の髪をしているし、皮膚も殆ど純白に近い色であるが、それらは北欧ではそれ程珍しくは無いという。顔は唇がふっくらして日本人的と言えないことも無い他は、眼も鼻も西洋人のようである。眼の色は何色と言うのが難しい複雑な色をしているが明らかに茶色とは違う明るい色だし、鼻はそれ程高くは無いが日本人には余り無いような細くて長い三角形をしている。体は全体に折れそうな程細いのに、胸と腰は十分過ぎる程豊かである。
 要するにシルビアはハーフだけれども外見は全くの外人である。母親はまるでそのことを予期していたかのようにシルビアという外人風の名前を付けた。だから初めて会う人は皆「日本語がお上手ですねえ」と言うが、シルビアは外国語など喋れないし、外国に行ったことも無い。
 しかし盛り場を歩いているとホステス、女優、モデルなどになれそうな女を探しているスカウトマンという連中が蠅のようにたかってくるから、日本語の分からない外人のフリをする。中には結構英語を喋る男もいて、なにやら英語で一生懸命話しかけてくるが、これはフリをするまでもなく分からない。すると勝手にフランス人と決めつけて諦めて去っていく。外人はアメリカ人とイギリス人とフランス人しかいないとでも思っているのだろうか。とりわけ美人の外人は皆西洋人と決めてかかる傾向があるようである。
 しかしシルビアはファッションに強い関心を持っていて、ケーブル・テレビでファッション・ショー専門の局をいつも見ているから知っているが、本当に美人だと思うモデルはインド人とブラジル人が多い。インドはアーリア人という白人種が移り住んで現地人と完全に混血して現在に至っているし、ブラジルは大量のポルトガル人が流入して現在に至っている。つまり両方とも土着民と白人との長年に亘る混血が行われてきた国で、異人種間の混血が美人を作る要素らしい。
 シルビアもそれらに負けない程の美人であることは男達の反応を見ながら育ってきたのだから勿論自覚しているが、モデルになりたいとは思わない。170センチしか無いから一般的には大女の部類に入るだろうが、残念ながらモデルとしては少し背が低すぎるのである。しかしいつも5インチ位あるようなハイヒールを履いているので180センチは超えていることになる。髪形はその日の気分で毎日のように変えるが、縦長に盛り上げたアップにすることもあり、そんな時はヒールと合わせれば190センチくらいになってしまう。
 母親はシルビアとは似ても似つかない顔立ちだがそれなりに女の魅力は備えているようで、シルビアが子供の頃から金持ちの実業家と愛人関係を持っている。渋谷の有名なビルの中にブティックを持っていて羽振りが良いけれども店の売り上げなどテナントの賃料や人件費の支払いがやっとというくらいしか無い。何しろビルの中も外もあちこちブティックだらけで競争相手が多過ぎるのである。それでも愛人という本業での収入が多いからブティックの売り上げなど全然気にも掛けていない様子である。つまりブティックは彼女にとって趣味か暇つぶしでしかないのである。
 母親と愛人との間には竜太郎という男の子が1人いてシルビアには種違いの弟ということになるが、小さい頃から一緒に育っているから、普通の姉弟と何ら変わりない。シルビアよりも3つ下の16才で高校2年生である。175センチあるから決して小さい方では無いのだが、ヒールを履くシルビアと並べばかなり小さく見えてしまう。それにこの年頃の3才違いというのは大袈裟に言えば親子ほどの精神年齢差があり、弟と言うより息子のような気分で接してしまう。竜太郎の方も甘やかされて育っているからシルビアに甘えるのが上手い。


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